クライン孝子の辛口コラム
ドイツからの警鐘 Vol.10


「辻元清美さん、人生、そんなに甘くないわよね」
    

日本の政治家って、何てこうも政治家としての確固たる信念に欠いた人が多いのだろう。 今回社民党の辻元清美衆議院議員辞職事件でそう思った。何しろ鈴木宗男議員事件では、、わざわざテレビカメラにむかって威勢のいい黄色い声を挙げ、相手を追い詰めるだけ追い詰め、辞職まで迫りながら、いざその火の粉が自分にふりかかるや、とたんにへっぴり腰になり、あれこれ屁理屈並べて『迷って揺れている』といい、都合が悪くなるや、病院を雲隠れの場にまでして一時難を逃れている。みっともないったらなかった。

 これでは、しょせん彼女もまた恥も外聞もなく議員という地位にしがみついていたかったミーハー政治家と誤解されてもしかたがない。
 その彼女の十八番は「政治とカネ」だったはずだ。
 何と、その彼女、「政治とカネ」で失脚してしまった。たかが1千万円というが、いってみれば、これ国民の血税である。たとえ1円といえどムダにしてはならないというのに。

 ことの発端は三月二十日発売の「週刊新潮」に掲載された氏の政策秘書だった女性の給与を巡る疑惑だった。
 それだけではない。ご本人は知ってか知らずか、次のような事実が隠されていたのだ。

 一つは一九八三年に彼女が創設したという民間国際交流団体「ピースボート」の存在である。これがどうも胡散臭いのだ。辻元事件後早速このホームページを開いていったいこの団体の資金の流れ=収支決算についてどうなっているのか調べてみたが見つからなかった。そこで本部にメールで「簡単でいいから教えてほしい」と問い合わせたが、その返事はいまだにない。

 二つは、彼女の支援団体である「ポリテイカ=きよみと市民」と「市民をすすめる会」で、この資金の流れが今一つ不明瞭なのだ。とくに第一秘書の梅澤桂子という人物にスポットライトをあてると、彼女、『ポリテイカ=きよみと市民』の寄付番付けで120万円と大口寄付としてはダントツ。一介の秘書が一体こんな多額の寄付ができるかものなのか。

 しかも人物の名に注目すると、これ偶然かどうか、平成12年の北朝鮮在住の日本人配偶者第3回故郷訪問での東京都出身61歳の女性と同姓同名なのである。さらに梅澤姓では義孝という人物がこの会に10万1000円寄付している。しかも、「市民をすすめる会」の寄付者としても梅澤桂子の名は登場し、その金額が何とここでも71万2546円という大金であることもさながら、その寄付金がきりの悪い半端な金額であることだ。普通寄付する場合、こんな半端な金額で寄付するものだろうか。

 その辻元氏だが、彼女は日本の国会議員でありながら、まるで北朝鮮のスポークスマンであるかのように、例えば北朝鮮拉致問題について「戦争に対する謝罪もせずに拉致された9人か10人を返せなんてフエアではない」と語っている。ということは、もしかすると、この発言とは梅澤桂子なる人物と関係があるのかもしれない。
 いずれにしても彼女の身辺には不可解なことがありすぎる。

 彼女にしてみれば、自分は国会で押しも押さんれぬ花形であり、かつテレビでは揺るぎないスター的地位を築いているのだからと、このようなことなど取るに足らないこととして隠し通せる、そう思い、世間を軽く見てタカをくくっていたのかもしれない。

 ところがそうは問屋が下ろさなかったというわけだ。
 かなり抵抗したようだが、最後は田原総一朗と筑紫哲也という老獪な煮ても焼いても食えないしたたかテレビマンに羽交いじめにされ、刀折れ矢尽きて一貫の終わりとなった。

 自業自得というにはちょっと可哀想な気がしないではない。けれども、人生、そんなに甘いものではない。という点ではひょっとしたら、彼女にとっては教訓になったかもしれない。

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